[ブログ] 年のはじめに

2018/01/11

いよいよ平成30年、平成最後の年です。

峯クリニックも早いもので移転して3年目になります。
昨年の学会での活動を振り返ってみます。

昨年の東洋医学会総会では「在野の漢方」というシンポジウムを担当し、市中にあって、自らの医療理念の中に漢方医学の考え方を取り入れて日々診療している先生方に声をかけ発表していただきました。
北大阪ホームケアクリニックの稲井先生には、在宅の診療に漢方を生かしているお話。在宅療は家族や介護をするひとこそが、医療の中心であり、それをわかった上で、医師が漢方を用いてできることをお話いただきました。
稲井先生の発表は症例報告もさることながら、患者さんとともに歩む稲井先生の姿に医療の本質を考えさせられました。

きの小児科医院の紀先生には、「今に生きる傷寒論」というタイトルで小児の急性熱性疾患における漢方治療の実践報告をいただきました。漢方を志す医師のバイブルとも言える傷寒論を、症例を交えて15分で語っていただきました。15分で語る傷寒論は本学会でもはじめての試みと思います。
患者さまの治癒反応を如何に大切にして治療するか、傷寒論の本質を語ってくださいました。

竹本クリニックの竹本先生は、長い間僻地の医療に取り組まれたまさに在野の漢方医です。現在は大和郡山市にクリニックを建てられ、漢方の煎じ薬を自ら調剤し、針灸治療を診療に生かしておられます。鍼をした次の瞬間には患者さまの脈証が変わっていることを報告され、針灸治療を日常診療に実施するとことが、診断治療においてどのように役にたつのかをお話くださいました。

峯は青黛という藍染めの藍を用いた潰瘍性大腸炎の漢方治療の有用性について報告を行いました。漢方処方は一つ一つの生薬の性質を生かして使うことが大事で、身体を冷やす作用の強い青黛をいかに処方の中で生かすかというお話をさせていただきました。

 さて今年は、6月に大阪で東洋医学会総会が開催されます。私は「一味の生薬から治療を考える」というタイトルで、黄耆という生薬にスポットライトをあてて、この生薬がどこにどのように効くのかを、シンポジストの皆さんと一緒にさまざまな方面から明らかにしていこうと考えています。
もう一つは、「昭和漢方の風雲児、三谷和合先生を語る」というタイトルで、私の師匠である三谷和合先生を取り上げて鼎談を企画しました。和合先生は漢方が医学会から偏見を持った目で見られていた時期に、患者さんの治る力を応援する漢方治療が国民の医療になくてはならぬものだと主張し、漢方治療の理念をいかした病院をたて、漢方で命の終わりまで責任をもってみる医療を実践されました。
和合先生にとっての医療は、病気をみることではなく、具体的な病人さんをみることでした。そのために漢方の考えがもっともふさわしいと考えたのです。
私は和合先生から「漢方でうまい飯が食えると思ったら大間違いやぞ。それやったら漢方やめてしまえ」「漢方使いになるな漢方医になれ」と教えを受けました。
初心にかえりもう一度和合先生に出会いたい、本気で漢方を学ぼうとする先生に和合先生のことを伝えたい。そう考えてこの鼎談を企画しました。

今年もよろしくお願いいたします。