[ブログ] 畑仕事

2016/11/01

移転開業の合間を縫って本年5月から畑を借りて、野菜作りにチャレンジしました。漢方医でありながらこの年まで、土いじりをまともにしたことがありませんでした。

初めてのことですから、つくりたい苗を買ってきて片っ端から植えていきました。

苗が根付くかどうかハラハラしながら見守りました。枯れてしまった苗、雑草と間違えて耕してしまった苗などありましたが、暑さと水不足に耐えながら苗は一生懸命に育ってくれました。なにせ無農薬で週に一回の農作業ですから、雑草は抜ききれず、自然農法だとうそぶきながらお天気だよりの畑作業でした。そんな中、とうもろこし、茄子、ゴーヤ、ピーマン、しし唐、トウガラシ、キャベツ、を収穫し、夏になったらミニトマトと普通のトマトが鈴なりにできました。きゅうりはゴーヤに押されてねじれながらときおり地面近くに転がっていました。

 

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何の知識もなく植えたのにちゃんと収穫できたことに正直驚きました。4畝の畑にこれだけのものを植えたのですから雑居ビル状態、違う苗が重なりながら育っていきました。
最初はトウモロコシ、小さな苗なのにぐんぐん育ち、実をつけていく様子に、圧倒されました。しかし実りの前にカラスにやられました。まるで人が食べたかのように上手に食べるんだなと関心しているうちにほとんど食べられてしまいました。それにこりてトマトは網で覆うようにしました。結果トマトはしっかりと収穫することができました。添え木はしていたのですが実がなりすぎて横に伸び、結局地面に垂れ下がってしまいました。

IMG_2692今週末はサツマイモ、黒豆、落花生の収穫をしました。さつまいもは「つる返し」という作業をしなかったので、最初はマッチ棒の先のようなものしかできていませんでした。ずいぶん遅れておこなったつる返しの効果で後半は立派なサツマイモを収穫しました。落花生は茎が土に落下して土の中で実が育ちます。まさしく落花生、彫り上げた根の周りにたくさんの落花生を発見した時には本当に驚きました。ゴーヤだけは天真爛漫、張った網にどんどん蔓をのばし、何十個も立派な実をつけました。虫も鳥もゴーヤは苦手のようです。おかげで今年の夏は毎日ゴーヤを食べるはめになりました。暑い夏をなんとか乗り切れたのはゴーヤのビタミンと清熱効果かもしれません。

作物の間には虫よけになるというのでマリーゴールドを植えました。オレンジや黄色のマリーゴールドは虫よけという先入観があって品のない花だなとおもっていましたが、たくさん元気に咲いてくれて、実はずいぶんと癒されました。

薬草も植えてみたいと思い、クチナシや生姜、芍薬とともにハーブを植えました。ミントは和物もふくめて数種類、バジル、セージ、シソなど。香りの強いハーブは虫もつかず、比較的元気に育つようです。

そしてたくさんの生き物に再会しました。アマガエル、大きなミミズ、あり、バッタ、コオロギ、トンボ、蝶々、クモ、カメムシ、毛虫、これだけの虫たちに日常的に会えるのはほんとうに久しぶり。なぜか、みんななつかしく思いました。

極めつけは蛍でした。六月の半ば診療が終わって畑にでかけ、作業をしていたらいつの間にか日が落ちて、涼しい風が吹いていました。畑の横に腰を下ろしていたら、目の前の川面に黄色い光がふわっと漂っていました。よくみるとみっつ、よっつ、はかなくも美しい光が穏やかに舞っては消え、消えては光り空中に漂います。蛍狩りに行ったわけではなく、日常の中に舞い降りてきた蛍に出会うのは、幼稚園以来だと思います。蛍のいる川は独特のにおいがします。その匂いがよみがえってきました。

土をいじると心が落ち着きます。自分が帰ってゆく場所だからなつかしく思うのでしょうか。
土にふれる生活の大切さを改めて実感している今日この頃です。