[ブログ]【第5回 漢方歳時記・梶の葉と七夕】
2025/06/25
みなさんは「梶の葉」をご存じでしょうか。
梶の葉はクワ科の落葉樹「梶の木」の葉で、古くから日本の文化や伝統行事に深く関わっています。葉は広くてやや厚みがあり、裏面には細かな毛が生えていて、手触りは柔らかく、和紙のように文字を書きやすいのが特徴です。昔は紙が貴重だったため、この梶の葉に願いや和歌を書いて、神社に奉納したり、祈りを込めたりしました。
その梶の葉が特に用いられたのが七夕の行事です。もともと七夕は、織姫と彦星が天の川を渡って一年に一度だけ再会できるという物語にちなんだ行事です。この特別な日に、人々は梶の葉に短歌や願いを書いて祈りを込めました。これは梶の木が神聖な木とされ、葉が丈夫で切れにくいことから「縁が切れない」「絆が長く続く」という願いが込められていたためです。その後、梶の葉に書いて願う習慣は、徐々に笹竹に結びつける紙の短冊へと移り変わっていきました。
ちなみに梶の葉は料理に使われることはあまりありませんが、古くは食べ物を神様にお供えする際、その器代わりに使われることもありました。
七夕には、短冊の由来である梶の葉に思いを馳せ、古人が星空に託した願いの美しさを感じてみてはいかがでしょうか。