[ブログ]【第11回 漢方歳時記・十二月号 柚子湯と冬至のからだ】
2025/11/25
冬至の日に柚子湯に入る――。
寒さがきびしくなるこの季節に、湯船に柚子を浮かべるという習慣は、日本に古くから伝わるささやかな養生の知恵です。
ふっくらと実った柚子が湯気の中で香りを放つと、身体だけでなく、こころまでもほっとゆるむような感覚があります。
冬至は、一年のうちでもっとも昼が短く、夜が長い日。陰が極まり、ここから再び陽が生まれる“節目”でもあります。
東洋医学では、冬は「腎」を養う時期であり、同時に「寒邪」による冷えや痛み、気の停滞を防ぐことが重要とされます。
そんな季節に、温かなお風呂と香りがもたらすやわらかな刺激は、からだとこころの両方に働きかけてくれます。
ゆずには、「理気」「和胃」「止咳化痰」といった作用があり、東洋医学では、気の巡りを良くし、胃腸の働きを整え、肺の潤いを助ける果実とされてきました。
特に香りの主成分であるリモネンには、現代の研究でも気分を落ち着かせる作用や自律神経の安定化が報告されており、ただの“いい香り”以上の意味があることがわかっています。
また、皮膚を通して香りと温かさを取り込むというのは、まさに暮らしの中にある“外用の漢方”。
お湯にただ身をゆだねるだけでなく、五感のすべてを通して整えていく――それが柚子湯の効能なのだと思います。
今年の冬至は12月21日です。気ぜわしい年の瀬。からだも心もどこか力が入りやすいこの時期に、ゆずの香りと湯気に包まれる時間は、とても貴重な「間(ま)」をつくります。
ただ香りを吸い、息を吐き、温もりに気づく。それだけで、からだの奥深くから、冬を迎える準備が始まっていくのを感じます。

