Q&A

漢方Q&A

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漢方薬は風邪に効きますか。

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風邪の治療は漢方のもっとも得意分野です。漢方では風邪で熱が上がるのを治癒反応と考えていて、丁度良いところまで熱が出て、汗が出て治るように体質や病状に合わせて薬を組み合わせます。

また二次感染を起こして痰が黄色くなったり、風邪が長引いて体力が消耗した時、渇いた咳嗽の時、透明な鼻汁がたくさん出るときなど、病状に応じてたくさんの処方があり、きめ細かな治療ができるんです

特に風邪のひき始めはそのときの状態にあった漢方を是非服用していただきたいです。

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こどもに漢方ってどんな時につかいますか。

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感冒や吐き下しなど、急性の病気にも漢方は有効です。子供たちの治る力がよりよく発揮できるように、漢方が手助けします。

吐き下しのとき、漢方によって点滴にいたることなく治ることもあります。また気管支喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患では、漢方を服用することによって身体が元気になり、症状が出にくくなることをよく経験します。

また漢方は子供さんの成長発達を助ける働きがあります。夜尿、夜泣きにも用いられ、漢方は小児科医療においてこどもさんの日常によりそう強い味方です。

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妊娠している女性に漢方は使えますか。どんな時に使いますか。

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つわり、妊娠中の浮腫、高血圧など妊婦の体調管理に漢方治療は適応します。
妊娠3か月目までは、できれば何も使わないのがいいのですが、その時期でも妊娠の継続を目標に使うことがあります。

またこの時期には抗ヒスタミン剤や抗生物質をできるだけ使いたくないので、風邪をひいたときにはなるべく漢方でなおしましょう。

漢方は妊娠の維持、合併症の予防、安胎の手助けをします。また妊娠を希望される女性にとっても漢方は力を発揮します。

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漢方は身体にいいと聞きますが、どんな風にいいのですか

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西洋薬は純粋な単一の成分からなることが多く、効き目も強い分、副作用も多くなります。漢方は自然の生薬ですから、成分が多様性に富み、なかには反対の作用をもつ成分が含まれていたりして調節的に働くため、結果的に安全性が高くなります。

また身近なところではショウガやナツメなど食品になるような生薬もあり、身体を温めたり滋養強壮の働きがあると同時に、身体の免疫力を高めます。また身体の解毒、排泄機能を高めて元気にする漢方もあります。飲み食いが過ぎて気分が悪い時は、下痢したり、吐いたりすると楽になりますよね。昔は楽に吐ける漢方というのもありました。

つまり、菌を殺したり胃酸をブロックしたりという単一の作用ではなく、体全体を元気にしたり解毒したり、いろいろな作用が同時に働くという点がからだにいいと思っています。

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煎じ薬とエキス剤をどのように使い分けていますか?

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エキス剤はインスタントコーヒーと同じで、持ち運び便利でいつどこでも簡単に飲むことができます。味もそこそこで仕事で忙しい人はこちらの方がいいでしょう。忙しくなくてもエキスで治る人ならエキス剤でいいと思っています。

一方、煎じ薬は本格的なブレンドコーヒーです。数々の生薬を、その人にあった分量や種類を選んで調剤します。複雑な症状や、難しい病気、あるいはエキス剤では配合できない生薬を使いたい場合が煎じ薬の出番です。

また香りの高い生薬は、エキスにすると成分が飛んでしまうので本当は煎じ薬で飲んでほしいのです。一日に一度だけ煎じて、それを2,3回に分けて飲みますので、案外楽と患者さんはおっしゃいます。煎じ薬は身体の奥にまでしみこんでいく感じがします。生薬は生ものですから、煎じたての処方には一番自然の力を感じます。

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漢方薬はずっと飲み続けなければならないという印象がありますが、本当のところどうなんですか?

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そんなことは、ありません。特に急性の病気なら治れば飲む必要はまったくありません。慢性の病気の場合は病気自体が長引いているので、その間漢方を服用するというのは、或る意味西洋薬と同じです。

ただ、漢方薬は美味しいとは言えないものも多く、ある種の西洋薬のように依存性はありません。いつでもやめたかったらやめることができます。これは漢方の素敵な一面だと私は思っています。

また季節や体調によって処方は変わってゆきます。西洋薬のように同じものを飲み続けることがないこと、これも漢方薬のよい点です。

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先生は普通の内科の先生とどう違うのですか?

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普通の内科医です。ただし内科医であると同時に、漢方の専門医です。患者さんを治療するためにはどちらの医学の素養も大切だと思います。私が漢方に魅せられたのは、患者さんを見る目が暖かいということです。

それは人間は自然の一部と考える東洋哲学を骨格にもち、患者さん自身の治る力、自然の治癒力を大切にするという点、一部の臓器だけでなく、必ず丸ごと全体の患者さんに立ち返って患者さんをみるとう点、患者さんにとって全体をみてもらっているということは大きな安心につながります。

西洋医学の医師の目に、東洋医学の医師の目を加えると、より患者さんのことが深く理解できるようになると感じています。

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先生が治療の中で一番大事にしていることはなんですか?

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患者さんの治ろうとする反応を邪魔しないということです。

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移転に伴い最新の医療機器を入れることにしたのはなぜですか?

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患者さんをより深く、責任をもってみるためです。漢方専門医といっても患者さんはむしろいろいろの病気を抱えてこられます。漢方治療を行う上においてもその病気の状態を客観的に把握することはとても大切なことです。

そして西洋医学的な治療が必要と判断した時には時期を逸せず、提携している専門的な医療機関を紹介します。

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漢方、東洋医学を通して、先生が社会に対して伝えたいことはなんですか?

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人間は自然の生き物であるということ。自然の法則に沿って生きるように人間はできているということです。このことは日々感じています。漢方薬を飲むから漢方じゃないんです。命を養う養生を大切にするのが漢方であり東洋医学です。

男女平等といって女性が男性のように夜討ち朝駆けで働くと、婦人科系の病気、私見をいいますと卵巣が腫れる病気になります。胃腸が弱い人は特に雨の前の日は調子が悪くなります。ちょっとした気候の変化にも生体としての人間は微妙に反応して生きているのです。

人間が生き物として健康に生きてゆけるように、社会の常識があってほしい。現代は、命の常識がどんどん崩壊しているような気がします。それこそ世界的に。日々の何気ない生活や、いのちのやりとりを大事にしていくことによって、漢方を通じて、調和を取り戻していきたいと思います。

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病が重く、行き詰ったと感じたとき、患者さんとの間でこころがけていることはなんですか?

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いろいろなケースがありますが、医療人として行き詰ってるわけですから、ただ穏やかに患者さんに接しているときでも私自身は途方に暮れていると思います。あえて言うなら、今、行き詰って大変な状態だけど、私はその状態をわかったうえで、あなたのそばにいますと伝えることでしょうか。言葉を使うこともあるし、使わないこともあります。医療者としてベストを尽くすことは当然のことですが、患者さんに寄り添うことが大切だと思います。

漢方はたとえ難しい病気であってもその病気をもった身体の状態でバランスをとる方法を考えるようにできています。工夫すべきことがまださがせるのです。その点において漢方は希望の医学です。

ですから正しい答えは希望を持ち続けるということでしょうが、私は諦念も希望を生むと最近感じています。この病気を治すことはおそらくできない、でも最後まで生きよう。いったんすべてを受け入れた時に生まれてくる希望があります。

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診療を今まで続けてこられて、先生にとって何が一番やりがいになっていますか?

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やっぱり患者さんの笑顔。どんな些細な症状でも、重い病気でも、やまいがいい方向に治癒していったときの患者さんの笑顔。その時の笑顔が、今の診療を支えてくれていると思います。人間は死を前にした時でもそんな笑顔ができるんですよ。たくさんの笑顔の宝物を日々いただいています。だから明日も診療するのでしょうね。

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先生は以前、動物としての患者さんをみるのが大事といわれましたが、動物として人間を見た時に、東洋医学的理論や、考え、生薬はどのようにそこにつながってゆくのですか?

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動物として患者さんをみるというのは、ずいぶん誤解を生みそうな表現ですけど、生き物としての芯、あるいは命に近いところを見るということでしょうか。脳でも一番原始的なところを動物脳とかいうでしょう。芯にはコミニュケーション能力があって、こちらが動物としての患者さんをみているのがわかると動物としての患者さんは安心することが多いように思います。

表象は移り変わっても芯を意識していれば、処方はいずれそこに近づいてきます。表面は熱くても芯は冷えているとか、表面冷たいのに芯は燃え盛っているとか芯がわかると表面の症状に振り回されなくなります。紫蘇の葉っぱを使って気を持ち上げ発散させるのが、いいのか、釣藤鈎で怒りを抑えたらいいのか、苦みで熱をさますか、竜骨牡蠣で気を下げるのか、当帰川芎で冷えをとり、脳に栄養をあたえたらいいのか、水っぽく関節がだるい人に少量の麻黄を使おうとか、でも最終的には地黄を使って身体の根っこに栄養を与えたいとか、実際の生薬とつながってきます。

動物としての患者さんをしっかりみて、表面の症状に振り回されずじっくりと患者さんをみていきたいと思っています。